剣士は みごとに竜を退治し
お姫さまを救い出しました

町中のものが
彼を英雄とたたえました

町長さんのめいれいで
タフタは ひとり 小さな工房にこもって
お祭りのためのお祝い菓子を
せっせと焼きました

王様は 剣士をお姫さまの結婚相手にと強く望みました
けれどその胸には ずっと彼を見続けてくれていた
小さなパン屋さんの笑顔が ふかく刻まれていたのです


剣士が つぎに店を訪れたとき
そこにタフタの姿はありませんでした

「あの娘は辞めたよ…
 もしもお前さんが来たら、どうか
 幸せになってくれと伝えてほしいとさ」

そして、店の主人は 竃の底に
忘れられていたというパンを
剣士に手渡しました

「あの娘はずいぶんパン作りが上手く
 なったんだが、どうかすると
 くっついたパンをこしらえちまう。
 それだけは直らなかったな」
とおくはなれた
ふるさとの村へ帰ったタフタは
つてを頼って また パン屋さんで
働き始めました

右にはくるみのクリーム、左には
すぐりのジャムをつめた
タフタの特製パンは
幸せを呼ぶくっつきパンとして
たいそう評判をよびました
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